大きな災害を目の当たりにするたびに、「建築とは何か」「住宅はどうあるべきなのか」と自問自答します。私たちがつくる住宅は、日々の暮らしを包む場所です。同時に、地震や台風などの災害が起きたときには、家族の命を守る場所でもあります。
弊社では、耐震等級3の取得を基本とし、計算上必要とされる性能を満たすだけでなく、できる限り余剰耐力を確保することを意識しています。また、地盤の状況によっては地盤改良を行うなど、その土地と建物に応じた対策を講じています。しかし、どれだけ対策を積み重ねても、「絶対に安全です」と言い切ることはできません。100%の安全は、この世には存在しないと思っています。今回の震災を通して、その事実をあらためて強く認識させられました。だからこそ、建築に携わる私たちは、基準を満たしたことで安心するのではなく、その先にある安全性について考え続けなければならないのだと思います。
建築士の専門分野は、大きく分けると、意匠、構造、設備の三つに分けられます。弊社が主としているのは、意匠、つまりデザインの分野です。空間の美しさや素材の選び方、光の入り方、暮らしやすさを考え、住宅を形にしていくことを得意としています。ただ、これからの個人住宅において、意匠だけに特化していくことは、次第に難しくなるのではないかと考えています。意匠を軸としながらも、構造や設備に関する知識を備え、建物全体を総合的に判断できるジェネラリストとしての能力が、これまで以上に求められていくはずです。
現在、弊社が取り組んでいるのが「構造設計の内製化」です。
これまで構造計算は、外部の専門家に依頼してきました。今後はその内製化を進めることで、構造の仕組みをより深く理解し、経済性と安全性のバランスを、これまで以上に主体的にコントロールできる体制を整えていきたいと考えています。意匠、構造、設備を切り離して考えるのではなく、それぞれを総合的に捉えながら、災害に対して少しでも強く、長く安心して暮らせる住宅をつくること。それが、これからの私たちに求められる建築のあり方だと考えています。
言うは易く、行うは難し。
考えを言葉にするだけでなく、実際の仕事として形にしていくことは、決して簡単ではありません。それでも、少しでも多くの信頼をいただけるよう、一歩ずつ前に進んでいきたいと思います。45歳、まだまだ成長せんとあきませんからね。
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