日本は、他国と比べて住宅における新築依存度が高いと言われています。その背景にはさまざまな要因が考えられますが、その一つに、中古住宅が資産として十分に評価されにくい構造があります。
これは住宅に限った話ではありません。ファストファッションや廉価な商品が広く普及しているように、古いものを手入れし、長く使い続けることへの敬意が薄れつつある社会状況も、少なからず影響しているように思います。一方で、環境問題や自然災害に対する意識が年々変化するなか、住宅も時代に合わせて「更新」していく必要があります。
弊社では、その一つの選択肢として「長期優良住宅」をおすすめしています。制度としてはまだ歴史が浅く、その性能が数十年後までどのように発揮されるのか、現時点では分からない部分もあります。それでも、可変性や耐震性、断熱性については、私がこの仕事を始めた頃と比べて格段に向上していると感じます。
ただし、高気密・高断熱住宅の多くは、完成時の性能を維持し続けることを前提として設計されています。そのため、将来的に増築や減築を行った際、新築時と同等の性能数値を担保することは、簡単ではないのではないかと考えています。性能を数値で示すことは大切です。しかし、数値だけに固執しすぎると、中古住宅の改修は難しくなってしまいます。
その一方で、中古住宅には、工事費を抑えられる可能性や、新築では生み出しにくい時間の積み重なり、素材の味わい、空間構成といった魅力があります。既存の建物をどのように読み取り、何を残し、どこを更新するのか。そこには、施主と設計者の工夫や努力によって、まだ多くの可能性を見いだせる余地があると思っています。
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